「宇宙人が絡むラブコメ」という共通フォーマット
うる星やつらは1978年連載開始。宇宙人のラムちゃんが主人公あたるの元に押しかけ、ドタバタラブコメが展開される。ダンダダンは2021年連載開始。宇宙人と怪異が絡むバトルラブコメ。40年以上の隔たりがある二作品だが、「超常的存在が日常に入り込み、恋愛模様を引っかき回す」という基本構造は驚くほど似ている。
ただし表面的な類似の裏に、時代の変化がはっきりと映し出されている。うる星やつらのあたるは「浮気性の軟派男」で、ラムは「一途に追いかける女の子」。ダンダダンのオカルンは「奥手の陰キャ」で、モモは「強くて自立したギャル」。恋愛における男女の描かれ方が、40年間でどう変わったかの証左でもある。
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高橋留美子と龍幸伸——「ギャグとシリアスの配合」の名手
高橋留美子の最大の特徴は、ギャグとシリアスの切り替えの鮮やかさだ。うる星やつらは基本的にコメディだが、「ビューティフル・ドリーマー」に代表されるように、突然深いテーマを投げ込んでくる。龍幸伸も同じ資質を持っている。下ネタギャグの直後に、怪異の悲しい過去を描く。この落差が読者の感情を大きく揺さぶる。
二人とも「読者を笑わせてから泣かせる」のが上手い。笑いは感情の防壁を下げる効果がある。笑った直後の人間は感動に対して無防備だ。高橋留美子がこの技法の名手であることは周知の事実だが、龍幸伸はそれを現代のバトル漫画のフォーマットに移植することに成功した。
ラムとモモ——「強い女の子」の40年間の進化
ラムちゃんは1970年代の「強い女の子」だった。空を飛び、電撃を放ち、あたるを追い回す。当時としては画期的な能動的ヒロイン像だ。しかし彼女の行動原理はあくまで「あたるへの一途な愛」だった。ダンダダンのモモは令和の「強い女の子」だ。念力で怪異と戦い、オカルンを助け、時にはオカルンより強い。そして恋愛においても、ただ待つのではなく自分の気持ちに正直に動く。
ラムの「ダーリン」呼びに象徴される献身的な愛と、モモのオカルンへの「素直になれない好意」。表現は違うが、根底にある「超常的な力を持つ女の子が一人の男の子を好きになる」という構造は共通している。40年の間にヒロイン像は大きく進化したが、「好きな人の前では素直になれない」という普遍的な感情は変わっていない。
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「日常の中の非日常」——世界観の共通点と差異
うる星やつらもダンダダンも、基本的には「日本の日常」を舞台にしている。学校があり、家があり、友達がいる。その中に超常的な存在が入り込むことで、日常が非日常に変わる。この「日常と非日常の境界が曖昧」な世界観は両作品に共通する魅力だ。
差異もある。うる星やつらでは非日常は「楽しいもの」として描かれることが多い。ラムがいることであたるの日常は騒がしくなるが、基本的にはハッピーな騒がしさだ。ダンダダンでは非日常は「命の危険」を伴う。怪異も宇宙人も本気で二人を殺しにくる。この「脅威度」の違いが、バトル漫画としてのダンダダンの特性を形作っている。
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40年後のダンダダンが証明する「SFラブコメ」の不滅
うる星やつらが示したのは「超常的設定×ラブコメ」という組み合わせの強度だった。この方程式は40年経っても有効であることを、ダンダダンが証明している。時代が変わり、表現が変わり、ジェンダー観が変わっても、「好きな人と一緒に不思議な体験をする」という物語の骨格は人の心を掴み続ける。
ダンダダンは単なるうる星やつらの焼き直しではない。バトル漫画のフォーマット、現代的な恋愛描写、龍幸伸の圧倒的な画力によって完全にアップデートされた「新世代のSFラブコメ」だ。しかしその根底に流れる「好きな人と一緒にいたい」というシンプルな感情は、高橋留美子の時代から変わらない。この不変性こそが、SFラブコメというジャンルの強さだ。


