暗黒大陸編の現状を整理する
ブラックホエール1号に乗船した十四人の王子たちによる継承戦は、冨樫作品の中でも屈指の複雑さを誇る群像劇だ。守護霊獣、念能力、政治的駆け引きが三つ巴で進行し、読者でさえ一度読んだだけでは全容を把握しきれない。カキン帝国の暗部・裏の組織も絡み、船内だけで何層もの対立構造が存在している。
一方で暗黒大陸そのものについては、五大厄災の情報が断片的に提示されるのみ。「兵器ブリオン」「ガス生命体アイ」「人飼いの獣パプ」「不死の病ゾバエ病」「植物兵器ヘルベル」──それぞれがキメラアントを凌駕する脅威とされるが、実際に目にした読者はまだいない。
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王位継承戦の決着はどうなるか
ツェリードニヒ=ホイコーロが最大の脅威であることは間違いない。念の修行なしに絶対時間(エンペラータイム)すら凌ぐ才能を見せた第四王子は、覚醒すればメルエム級の存在になりかねない。クラピカとの対決は、能力の相性だけでなく「理性」と「狂気」の対比として描かれるだろう。
冨樫義博の過去作から推測すると、最終的に王位を得るのは本命ではない人物になる可能性が高い。幽白の仙水編では意外な形で決着がついたように、継承戦もストレートな実力勝負ではなく、条件の穴を突いた知略戦になるのではないか。ワブル王子(第十四王子)をクラピカが守り抜く展開が最も王道だが、冨樫がそこまで素直かどうかは疑問が残る。
ビヨンド=ネテロと暗黒大陸の真実
ネテロ会長の息子ビヨンドは、V5(世界の五大国)に対して暗黒大陸への進出を宣言した。父親を超えることに執着する彼の動機は一見シンプルだが、ハンター協会を巻き込んだ政治劇を仕掛けている点で単なる冒険家ではない。パリストンとの共闘関係も不気味だ。
ネテロが暗黒大陸で何を見たのか、なぜ「あの世界に比べればキメラアントなど」と述べたのか。暗黒大陸には人類の想像を超えた何かがあり、ネテロはそれに挑み、敗れたのだろう。ビヨンドが父の遺志を継ぐのか、それとも別の野望があるのか。この親子関係がゴンとジンの関係と対比される構造になっているのは間違いない。
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ジンの役割と「プレイヤー」としての格
ジン=フリークスは暗黒大陸編において、遂に本格的に「プレイヤー」として動き始めた。パリストン率いるビヨンド派に潜り込みつつ、独自の目的で行動するジンの姿は、これまで「最悪の父親」として描かれてきた彼の真の姿を垣間見せている。
特筆すべきは、ジンの念能力がまだ一度も本格的に披露されていないことだ。ハンター試験編からキメラアント編まで、実力の片鱗すら見せなかった男が、暗黒大陸でようやく全力を出す。冨樫がここまで温存してきた以上、その能力は物語の核心に関わるものになるはずだ。ゴンとの合流が実現するかどうかも含め、ジンの動向が暗黒大陸編の鍵を握る。
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冨樫義博はどこまで描くつもりなのか
冨樫自身が「あと10巻くらいで終わりたい」と語ったことがある。暗黒大陸編は継承戦の決着、暗黒大陸への上陸、五大厄災との遭遇、そしてゴンの念能力の回復とジンとの再会──少なくともこれだけのイベントを消化しなければならない。10巻で収まるかは疑問だ。
一つ確実に言えるのは、冨樫義博は「広げた風呂敷を畳む力」を持った作家だということ。幽白もレベルEも、打ち切りのような終わり方に見えて実は緻密に計算された結末だった。HUNTERの暗黒大陸編も、たとえ駆け足になったとしても、我々の予想を超えた着地点を見せてくれるだろう。問題はそれがいつになるか、だが。


